へほは日記

無感動な大人を卒業して、感動屋なおじさんになります。

【がんのお話】卵巣がんのアレコレ

過去3回は再発するからがんは怖いという話と、治療法について2回にわたって書いた。

 

ちょっと間が空いたが、今回は卵巣がんについて書きたい。

他のがんには直接は関係ない話だが、あながち無関係ではなく、がんあるあるみたいな話も混ざっている。

 

まず卵巣がんは数あるがんの中でも予後が悪いがんだ。これはひとえに発見が遅くなる傾向があり、発見時にすでに進行がんというケースが多いことが理由だ。

 

まず卵巣がんは自覚症状が少ない。これはどんながんでも大体あてはまる。

そして進行が速いことが多い。これは卵巣がんならではの特徴だ。

この2つにより、卵巣がんは定期健診に向かないがんと言われていて、1年に1回検診しても、その間をすり抜けて進行がんになってしまうケースがある。

 

ただし、これはすべての卵巣がんに当てはまるわけではない。

卵巣がんの多数派を占める漿液性腺がんの特徴そのものである。他のタイプではちょっと違うのだ。

このように、ひとえに卵巣がんといっても同じではない。卵巣がんでは4種類あって、全然性格が違うのだ。

 

漿液性腺がんは進行がとても速いのが特徴。

まさに卵巣がんの予後が悪いのは漿液性腺がんの特徴でもある。

一方、抗がん剤がよく効くのも特徴。このため、同じ抗がん剤を使う肺がんと比べて薬剤の量が少ないケースが多い。

 

また、発生原因に遺伝が関わることも多い。

その遺伝子変異は検査が可能だ。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)といい、優性遺伝だ。乳がん卵巣がんになる確率がかなり高い。また男性でも乳がんになることや、すい臓がん、質の悪い前立腺がんになりやすいなど、看過できない性質がある。

これは検査を一般化した方がいいんじゃないかと思う。我が家もコロナが過ぎ去ったら検査する所存だ。優性遺伝なので、ワタクシと妻がともに陰性なら、娘は問題ないことになる。

 

次のタイプ。

卵巣がんで最も「顔つきが悪い」のは明細胞がんだ。

これは抗がん剤が効きにくく、治療後短期間で再発することが多い。

当初の進行は遅く、だいたいステージⅠで見つかるが、治療が難しく、予後は悪い。

原因は子宮内膜症によるチョコレート嚢胞と言われる。

 

同じくチョコレート嚢胞由来なのが、類内膜性腺がん。

これも進行が遅く、ステージⅠで見つかるケースがほとんど。しかも抗がん剤が効くことが多く、卵巣がんの中では例外的に予後が良い。

幸い、かみさんはコレだったのだ。ホント、不幸中の幸いだった。

 

卵巣がんが怖いのは、先ほど書いた発覚が遅れること、進行が速いことのほかに、腹膜内の臓器である点も見逃せない。

卵巣がんの場合、進行すると上皮細胞を越えて腹膜内に転移する。

この腹膜内には、転移したがん細胞が増殖しやすい臓器が多いのだ。

特に多いのは反対の卵巣、卵管、大網、子宮、リンパ節。これらはあらかじめ切除する。

 

かみさんもこれらを切除した。大手術ですよ。朝一番に入って、みなさんが続々と終わる中、最後まで手術室前にいましたよ。

持って行った仕事、仕事がらみの読み物、関係ない本、などすべて続行不能になるくらい疲れたけど、何しろ大変なのはかみさんだったり、ずっと手術している先生なので(一時的に外科の先生が執刀していた時間帯もあるので、多少は休憩されているとは思うが)、泣き言は言えないですよ。尻も痛くなり、順調かどうかも気になり、なかなかに辛い時間ではありましたがね。。。

 

これで転移の可能性はグッと下がるものの、仮に腹腔内に散らばってしまった場合は、大腸とかすい臓とか腹膜そのものとか、転移先はまだあるので、やはり腹腔内のがんは怖いのだ。

 

治療は化学療法が軸で、手術を併用するのがほとんど。化学療法はまさに進展している領域。最新の治療を調べていき、先生に質問するとよい。明確に答えてはくれると思うが、先生も人間なので、得意分野、不得意分野がある。不得意だと困るので、きちんとプレッシャーをかけることだ。

 

卵巣がんで注意すべきは、担当医ががん専門ではなく、婦人科専門になることだ。婦人科がんだけは婦人科の領域なのだ。これは日本特有の模様。つまり、担当医は婦人科がんには強いが、がん全般の知識があるわけではない。

 

この点は注意が必要だ。標準治療についてはネットで検索できるので、きちんと知識を得ておき、医師にプレッシャーをかけることが必要だ。命がかかる病気なのだから、きちんと最新の知見を基に治療してもらうためにも必要な努力だ。