ファインマンという物理学者の考えによると、粒子の運動を考えるとき、可能なルートはすべて考えないといけないとのこと。
例えば、キャプテン翼がゴールに向かって電子をシュートした場合。
若島津の指先をすり抜けてゴールしたかもしれないし、岬くんにアシストしたのかもしれないし、若島津の股間をすりぬけたのかもしれないし、いやいや地平線の彼方にいったん消えて、そこから猛烈なカーブで舞い戻ってきて、さらにカーブしてゴールしたのかもしれないし、はたまた月の向こう側を回って、ムーンサルトで決めたのかもしれない。
考えうるシュートはすべて考えようというのがファインマン流。
未来に向かう以上はすべてOKなのだそうだ。心の広いお方だこと。
中には光速を越えないと間に合わないものもある。
ムーンサルトならいいが、プルートサルトだと冥王星の向こう側を回ってこないといけない。超光速じゃないと、若島津にキャッチされてしまう。
ここで昨日の話だ。一昨日だったか?
超光速だと、過去にさかのぼってしまう。
え?未来に向かう以上はすべてOKなんでしょ?過去にさかのぼったらアウトでしょうが。。。
心の叫びもむなしく、これも考えないといけない。
過去に向かう電子は、未来に向かう陽電子と同じなんだって。
説明が面倒だから省略するよ。
陽電子というのは、電荷がプラスで、それ以外は電子とまったく同じもの。
こいつが電子の反粒子。
ダンブラウンの天使と悪魔に出てくるヤツは反物質。
反物質は反粒子でできている。だから、粒子でできている物質と出会うと対消滅して、E=mc^2にしたがって、莫大なエネルギーに置き換わる。まぁ爆発するだろうね。
実際には、粒子に比べて反粒子は少なく、生成されてもすぐに粒子と出会って消えてしまうだろう。
で、この反粒子。粒子とペアで生成される。
どうやって?
そのへんからエネルギーを借りて、そのエネルギーを粒子と反粒子にして、ばれないうちに対消滅するそうだ。
こそこそしやがって。なんだよ、ばれないうちにって。リアルすぎるわ。
だいたいエネルギーを貸す方も貸す方だ。返ってこないぞ。光子になってバイバイキーンって飛んで行くんだって。訳わからんわ。
これにも不確定性原理が絡んでいる。
時間とエネルギーは同時に決められない。
だから、ある時点の粒子のエネルギーは揺らいでいるのだ。
そのへんからエネルギーを借りるとかではなく、そもそもエネルギーなんてふらふらしているんじゃ!ということ。
でもマクロではエネルギー保存則が成り立っているわけだから、全体では一定ということになる。
どうもあらゆることがこんな調子らしい。粒子1個1個は何をしでかすか分からないいい加減な奴らばかりなのだが、集合体で見るとアインシュタイン理論やニュートン理論にバシッとはまる。
で、話を戻す。
ファインマンが考えうるあらゆる経路を考えようと言ったわけだ。
それにしたがうと、超光速で移動する粒子が出てきてしまう。なんでそんな遠くまでより道するわけ??ってヤツら。
超光速だと過去に遡っちゃうので、それはおかしいから、反粒子が必要になる。
ていうか、ファインマンがなんでもありだというから、こんなことになるわけでしょ?
光速を超えるのは禁止!って言えばいいじゃん。
でも言わないんだよ。
するとね、ファインマンの腹づもり一つで、反粒子の必然性が変わっちゃうわけ。
だから、本当は反粒子なんかないんじゃないの?って考えも浮かぶ。
でもあるんだよ。
なんなの?言ったもの勝ち?って思うと、そうでもない。
天才なのか、異才なのか、なんとも理解しがたい人種だと理解した。
でもこの分野は日本のノーベル賞の多数派だからね。湯川、朝永、南部、小林、益川。
何だか分からないけど、凄すぎてついていけん。