今回は第2回。
治療法について触れたい。
まず最初に書くべきなのは「標準治療」について。
標準治療に則っていると、保険が適用される。標準治療から外れると、下手をするとすべての治療が保険対象外となる。
「標準」って、そういうことなのね、リーズナブルなやつね。
と思うと間違いだ。
少なくとも、がん関連の学会におけるベストプラクティスが「標準治療」だ。
よく標準治療は時代遅れとも言われる。
確かに最新の治療法は標準治療にはない。
なぜか。
それは、がんの治療は長期間に及ぶからだ。
治療が長ければ、経過観察期間も長い。第1回で書いたように、がんの最大の怖さは再発なので、経過観察が長いのは当然だ。つまり治ったからOKみたいな病気とはわけが違うので、治療効果の測定にも時間がかかる。
また、がん治療は全般的に劇薬系なので、長期に及ぶと治療自体が悪影響を及ぼすこともある。
そういう一切合切を見極めてベストプラクティスにするには時間がかかるということだ。
最新の知見がないからといって、標準治療を時代遅れの治療法だと言うところは信用ならないので注意されたい。
ただ、標準治療がある程度進んでしまった場合は別だ。
これも第1回に書いたが、がんはいとも簡単に性格を変え、薬が効かなくなる。しかもがんの薬はだいたい劇薬だから、繰り返し使うと二次がんを誘発しかねないし、QOLも下がる。年齢によっては体力が落ちて、余命が縮むことも。
そういうときに、免疫療法とか、違う選択肢を取ることはありえる。
また、最初から進行がんだった場合は、標準治療での完治が望めないケースも多い。
そういう場合に、最初から違う選択肢を併用することはあるだろう。
ただ。いずれも高額だ。
お金と命は比較できないものの、生活を破綻させないよう、落ち着いた選択をしていただきたい。お金があるなら、いろいろ試すのは悪くないと思う。
ただ、副作用がないことが前提になる。この点はよく確認してほしい。
実はワタクシも、とある免疫系クリニックに相談しにいった。がんの怖さを知って、かみさんのがんを一発で治したかったからだ。
そこで受けた感触。
相談に応じてくれた医師は恐らくがんの世界で研鑽を積んだ方だと受け止めた。話の内容は信頼できる。
だがワタクシはその治療に踏み切らなかった。
ひとつは主治医が、正確には主治医の上司が反対していたこと、もう一つはステージⅠが確定したことだ。
ステージⅠなら標準治療でかなり良好な結果になると思ったのと、やはり医者も人間なので、自分の忠告を聞かない人をどう思うかを気にした。これは適切なのか迷ったが、患者はワタクシではなくかみさんなので、最後はかみさんの意志を尊重した。
それと、その免疫療法の治療成績はそこまで魅力的ではなかった。それは結果を正直に公表しているということでもあるが、高額な割には、、、という感じだ。
ワタクシは金をケチったわけではなく、目指したのが完治だったので、それと照らすと物足りないというのが正直な感想だったのだ。成績がもっとよければ、数千万は出す覚悟はあった。父親にも無心するつもりだった。だが、そこまでではないというのがワタクシの感度だ。
それでも再発を繰り返せば、免疫療法に踏み切ると思う。それは、がんを叩くべきなのは本来は免疫系だからだ。なので、オプジーボ等の免疫チェックポイント阻害剤との併用が前提にはなると思う。
免疫にはスイッチがあって、そのスイッチがバカになるのが、自己免疫疾患だったりがんだったりするのだ。
ずっとオンになるのが自己免疫疾患、がん細胞を前にオフになっちゃうのががん。
免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞によって免疫系がオフになるのを阻害する薬だ。
それと、免疫自体を強化する免疫療法の組み合わせが最終手段だろう。
そこまで行かないことを祈るばかりだ。